Airbnb Japan 公共政策の取り組み
Airbnb、ぼうさいこくたい2025に参加
多様な避難支援に関する官民連携を議論
災害発生時、避難所は命を守るための大切な拠点ですが、避難所だけでは応えきれない声もあります。高齢の方、乳幼児を抱えるご家族、障害をお持ちの方など、多様なニーズに合わせた新たな避難先の選択肢が必要とされています。
災害発生時、避難所は命を守るための大切な拠点ですが、避難所だけでは応えきれない声もあります。高齢の方、乳幼児を抱えるご家族、障害をお持ちの方など、多様なニーズに合わせた新たな避難先の選択肢が必要とされています。
災害が起きたとき、突然訪れる非日常の中で、私たちはどんな「避難先」を選べるでしょうか。
災害が起きたとき、突然訪れる非日常の中で、私たちはどんな「避難先」を選べるでしょうか。
こうした問いに向き合うため、Airbnbは新潟で開催された「ぼうさいこくたい2025」に参加しました。
「多様な避難支援に関する官民連携PT(プロジェクトチーム)」の一員として、兵庫県立大学 阪本真由美減災コミュニケーション研究室、東京都墨田区、一般社団法人RCFと共に登壇。
講演では、「指定避難所だけでは応えきれない」避難者の多様なニーズに寄り添い、民泊をはじめとする新たな避難先の可能性や、平時からの官民連携による支援体制づくりについて議論しました。
「避難所の『過酷』な現実 と民泊活用の新たな選択肢」
「避難所の『過酷』な現実 と民泊活用の新たな選択肢」
近年の大規模災害では、避難所の環境や運営をめぐる課題が顕在化しています。特に、高齢者や乳幼児、障害をお持ちの方など要配慮者を含め、多様なニーズに応えられる避難先の確保が大きな課題となっています。指定避難所だけでは対応が難しいケースも増える中、民泊をはじめとする日常の暮らしに近い環境を備えた新たな避難先の活用が求められています。こうした避難先が有事に迅速に機能するためには、平時からの準備と仕組みづくりが不可欠です。本講演では、現場を知る行政、制度を研究するアカデミア、支援を実践する団体、そして新たな仕組みを提案する民間企業が、互いの視点を交わしながら課題と解決策を探りました。


兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授
阪本 真由美氏
「災害時にできること、できないことを知ることが重要です。」阪神淡路大震災の経験を踏まえ、避難所生活そのものが、高齢者や障害者をはじめとする被災者の命を危険にさらす現実を紹介。行政職員も被災者となるため「行政にできないこと」を前提に、民間施設を含む避難先整備が不可欠と指摘しました。


一般社団法人RCF代表理事
藤沢 烈氏
「高齢化が進む地域で震災が起きた時、広域避難は避けられません。」能登半島地震では長期断水により都市部への広域避難が発生。復旧工事の長期化は、地域の高齢化による人員不足に起因することも確認され、今後、全国の高齢化地域でも同様の事態が想定されると指摘しました。広域避難では孤立など心身への負担が生じるため、民泊を含む「暮らしに近い環境」での避難先の確保が重要と強調しました。


東京都墨田区都市計画部危機管理担当 防災課長
瀧澤 俊享氏
「一つの行政だけで必要な避難所の数を確保するのは不可能に近いでしょう。」墨田区では、都心南部直下地震の想定避難者数12万人(避難所避難者約8万人+避難所外避難者約4万人)に対し、指定避難所は5.6万人しか収容できない計算。人口の多い都心部において、行政だけでの対応は限界であり、民間施設や周辺自治体との協力が不可欠と述べました。


Airbnb Japan株式会社 公共政策本部 本部長
大屋 智浩
「一人でも多くの人が安心できるよう備えていきたいです。」Airbnb.orgは2020年以来、災害時の民泊施設提供を世界中で展開。避難者や支援者が普段に近い生活環境で過ごせることの価値を示し、制度上の課題解決に向け官民連携を進行中と紹介しました。
詳しくはこちら「現行制度と避難所運営の実態にどんなギャップがあるでしょうか?」
「キーワードは『受援力』。被災した自治体では、災害時に、外からの物資や支援、さらには支援者が入ってきても、役割分担が不明なため十分に活用されない・活躍できないという状況が発生します。例えば広域避難はすでに予測できること。自治体では、多様な課題に柔軟に対応できるための『受援力』を高めていかなくてはなりません。」― 藤沢氏

「避難所運営は気合や根性では続かない。能登半島地震の際、珠洲市では、指定避難所以外にも多数の避難所がつくられ、1施設あたりの収容人数も数百人から数千人と想定を超える状況にありました。広域避難を検討するにも、どこにだれを避難させるのかがわからない。誰も『やったことがない』まま災害を迎えることこそが問題で、運用面を普段からもっと考え、議論しておく必要があります。避難先の選定や、避難所にいる人・いない人もカバーする情報伝達までを含めた事前設計が不可欠です。」― 阪本氏
「墨田区では1,500人規模の避難所を39か所設置する想定です。そのようにしても、収容人数は5.6万人の計算ですが、一方の想定避難者は12万人(避難所避難者約8万人+避難所外避難者約4万人)。高齢者や障害者、基礎疾患をお持ちの方、妊産婦など要配慮者が密集する現場を想像すれば、行政だけでの対応が限界なのは目に見えています。行政以外の資源に支援を求めていくことは必至です。」― 瀧澤氏
「民泊施設を活用することで期待できる効果は?」

「指定避難所に使える学校の数は少子化に伴い減っていますが、民泊施設は増えています。指定避難先の過密状態を考えると『快適さ』の実現は難しい中、民泊施設であればキッチンもトイレもあります。量と質の確保の両面から、民泊は魅力的な補完手段です。」― 瀧澤氏
「民泊施設の活用は、避難所の数を担保するだけでなく、普段の生活環境に近い空間を提供できるという利点があります。普段の暮らしは家庭ごとに多様でそれぞれのニーズがありますが、行政では、公正・平等への配慮から、十分にそれを提供しづらいことも。行政と民間との協働が、災害時においても多様な暮らしを実現するための鍵となります。」― 藤沢氏
「全国的に展開する際の課題は?」

「行政の民泊施設に対する認知不足や、被災者の民泊利用の経験不足による難しさがあります。また、ホスト側も、災害発生時に、通常営業との調整をどのように行い被災者を受け入れるのかを考えておく必要があります。平時から相互の理解と信頼関係を深め、連携のルールを整えておくことが求められます。」― 阪本氏
「民泊の数には限りがあります。だからこそ、誰を優先するかを平時から行政と地域が話し合っておく必要があります。例えば墨田区では、民泊の活用は比較的自立した生活が可能と想定される妊産婦の受け入れを優先させたいと考えていますが、万が一の際には地域の助産師と連携することまで含め検討しています。そうした準備があれば、災害時にも円滑に活用できます。」― 瀧澤氏
「地域コミュニティとの合意形成には何が必要でしょうか?」
「能登半島地震では、避難先となった民泊施設の地域住民の協力が大きかったという話を聞きました。協力経験をきっかけに、その地域で民泊を始める人も出てきたそうです。つまり、受け入れ自治体だけでなく、その自治体の地域の人たちも支援の担い手になるということ。行政と地域住民が一体となって広域避難者を支援する仕組みづくりが大切です。」― 阪本氏
「民泊の数には限りがあります。だからこそ、誰を優先するかを平時から行政と地域が話し合っておく必要があります。例えば墨田区では、民泊の活用は比較的自立した生活が可能と想定される妊産婦の受け入れを優先させたいと考えていますが、万が一の際には地域の助産師と連携することまで含め検討しています。そうした準備があれば、災害時にも円滑に活用できます。」― 瀧澤氏
議論の締めくくりでは、3名の登壇者から今後の展望が語られました。共通していたのは、「限界を迎えつつある既存の避難体制を超え、官民が協働して持続的な支援ネットワークを築く必要がある」という視点です。

避難所対応は限界に近づいています。Airbnbのような新しい避難の形が生まれつつある今、いざというときにその仕組みが使えるように、今のうちから地域と民泊施設とのネットワークを築いておくことが重要です。
兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授坂本 真由美氏

地方の人口減少が進む中で、広域避難はどの地域でももはや例外ではなくなっています。だからこそ、遠方に避難した市民にも情報を届け、戻って来られるようアプローチができる仕組みづくりまでをセットで考えることが重要です。長期的な復興を見据えた取り組みが求められます。
一般社団法人RCF代表理事藤沢 烈氏

防災・減災の取り組みにおいては、協定などの連携を広げることが非常に重要です。そして、協定を単なる形式で終わらせず、互いの気持ちが通じ合い、同じ熱量で議論できるパートナーを見つけ備えていくことが大切です。
東京都墨田区都市計画部危機管理担当 防災課長瀧澤 俊享氏
お問い合わせ
Airbnb Japanの公共政策チームへのお問い合わせは、下記までご連絡ください。Airbnb Japan 株式会社 公共政策本部pjapan@airbnb.com
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